私は、2010年秋~2015年夏まで神宮球場でグラウンド整備の仕事をしていました。
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神宮球場でのレアなバイトを5年間経験して人生観が変わった話
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今回は、需要があるか分かりませんが
超マニアックな、神宮球場のグラウンドキーパーの「大学野球とプロ野球が同日開催される超ハードな1日」の時系列を、紹介したいと思います。
デーゲーム:大学野球のリーグ戦
4~5月と9~10月の神宮球場は、
春季と秋季は野球シーズン
・土日をメインとした東京六大学
・平日をメインとした東都大学
のリーグ戦が、開催されます。
しかし、神宮球場は東京ヤクルトスワローズの本拠地であり、プロ野球もシーズン真っ盛りなんです。
ということで、大学野球とプロ野球が同じ日に行われることもあります。
これを神宮球場関係者は「併用日」と呼んでいて、併用日の球場スタッフは総じて表情が引き締まるんです。
それもそのはず。
グラウンド整備に限らず、どの部署も確実に慌ただしくなるのが分かっていますからね。笑
8:00 作業開始
併用日のグラウンドキーパーの1日(当時)を、ざっくり紹介します。
作業開始時の人員は、6人です。
9:00スタートの打撃練習に向けて、打撃ゲージや防球ネットを用意します。
私は当初「え?大学生が自分たちで準備してくれないの?」と思いましたが、
・球場の資材を使っていること
・球場を使う団体は、もれなく「お客様」だということ
・球場スタッフに賃金が発生していること
など考えたら、大学生に準備してもらうのは、むしろ不自然なことなんですよね。
10:00 打撃練習終了
打撃練習後、すぐにシートノックが始まります。
時間との戦いですし、ゲージ2つと防球ネットを撤去する際、引き揚げる選手が接触しないように注意も必要です。
この作業も6人で行います。
少人数ですから、1人のミスで試合自体の進行が遅れる可能性もあるので、結構プレッシャーがかかりましたね。笑
10:30 第1試合開始
試合が始まれば、5回の整備以外は待機時間となります。
その間に次の準備をしますが、合間に食事を摂るなど、ややリラックスした時間ですね。
13:00~14:00 第2試合開始
第1試合が終わったら、約5分で
第1試合が終わったら
・マウンドとホームの「穴埋め」
・急がないとシートノックが始まっちゃう
試合後のマウンドや打席は、思い切り掘られています。
それを短時間で真新しい状態にするので、技術が必要です。
当時の私は、時々失敗して怒られてました。笑
失敗というのは、穴埋めに必要な「水」の使い方を間違えて、土を泥状にしてしまったことです。
やってしまった時は焦りました。笑
シートノックが終われば、また各塁の整備をして、第2試合が始まります。
16:00前後 第2試合終了
ここからは、18:00開始予定のプロ野球に向けた準備です。
この時点で、既に疲れていますが、併用日はここからが後半戦!*長い1日です…笑
作業内容は、第2試合の終了時間によって2通りに分かれます。
作業内容
パターン①:ビジターチームが打撃練習
→15分でグラウンド整備し打撃練習の準備
パターン②:パターン①の時間が無ければ、
→17:15頃開始のシートノックまでにグラウンド整備
大変なのは、圧倒的にパターン①です。
荒れたグラウンドを完璧に整えてから、打撃ゲージ2か所準備し、ボールボーイと協力してダグアウト(ベンチ)をプロ仕様に整えるなどします。
与えられた時間は、およそ20分。
お察しの通り、言い尽くせないような忙しさです。
で、打撃練習中にブルペンを整備。
ブルペン整備を終えたら、間もなく打撃練習が終わるのでゲージなどを撤収、シートノックが始まります。
ナイター:プロ野球
シートノックが終わると、試合前の整備です。
ここからは、比較的時間に余裕がでてきます。
とはいえ、
・プロ野球選手の
・日によっては、3万人前後の大観衆の
目の前での作業なので、なかなかのプレッシャーです。
しかし、プレーボール直前のグラウンドに立てるというのは、振り返ってみたら貴重な時間でしたね。
18:00~ 試合開始
試合が始まると、再び待機時間です。
グラウンドでのアクシデントに備えつつ、夕食をとるなど、少しリラックスして過ごします。
プロの試合は、3・5・7回裏終了時にグラウンド整備に入るので、そこが仕事スイッチの入れどころですね。
そういえば、神宮球場のグラウンドキーパーを経験していて気づいたのが、「プロ野球選手ってグラウンドをキレイに使う」ということです。
3回裏の整備に行っても、2塁や3塁の土なんて、整備の必要がないくらい足跡すら無い時もあります。
たとえハイレベルでも、大学生や社会人の試合ではグラウンドの土って必ず荒れるものです。
しかし、プロはグラウンドを荒らさないんですよね。
いかにムダな動きを省くか、という点もプロの特徴かもしれません。
21:00頃~ 試合終了
終了時間は試合展開によります。
遅いときは、23時を過ぎました。
終了後は、次の日に備えてグラウンドを1.5時間程度かけて整備し、業務終了です。
併用日はだいたい、8:00に業務開始、22:00~23:00に終了していたと思います。
約15時間・・・、長いですよね。笑
確かに疲れますが、私含め多くのスタッフは時給制のアルバイトだったので、「稼げるな(ニヤリ)」と思ってました。*ちなみに、チーフを務める社員さんだけでなく、希望するバイトスタッフは「早番」「遅番」にしてもらうことも可能でした。
プロ野球は同一カード(対戦)で3連戦が一般的であり、大学野球も当時は「2試合先勝したら勝ち点が入る」方式です。
つまりこのハード日程が3日続く、なんてこともザラで、仕事が終われば急いで帰宅、翌日に備えます。
以上が、神宮球場グラウンドキーパーの併用日の過ごし方でした。
マニアックな話ですみません。
まとめ
今回のポイント
・神宮球場には「併用日」がある
・併用日は、1日が長くて忙しい!
・でも、バイトにとっては稼げる!
・なにより最高の舞台で仕事ができている
今回は以上です。