いきなりですが、あなたは『月』に行ったことがありますか?
おそらく、誰一人いないですよね。
もちろん私もです。
単なる「野球好き」だった10代の私にとって、
明治神宮野球場(以下、神宮球場)で活躍するプロや六大学の選手はまさに『月』の住人のような存在でした。
憧れてはいても
「お前なんかとプロとじゃレベルが『月とスッポン』くらい違うんだよw」
とバカにされるのが怖くて口にできませんでした。
結局私は、高校卒業と同時によく知りもしない『月』の世界への挑戦を勝手に諦めました。
それから4年後、何の目標もないフリーターだった22歳の私はさりげなく求人サイトをネットサーフィンしていたところ、神宮球場の仕事求人を発見。
しかも、グラウンドの整備やスコアボードの操作といった、いわゆるレアバイトです。
神宮球場の中に入れるかも!
と思い、ダメもとで応募。
運良く採用されました。(面接で採用率が低いことを事前に説明されていたので、半ばあきらめていました)
そこから私の人生は少しずつ変わり始めます。
今回は「レアバイト=神宮球場グラウンドキーパーの体験」をご紹介させていただきます。
尚、神宮球場で働く方法の紹介はこの記事の最後に記載してあります。
何がレア・特別だったか
アルバイトとして働きながら、毎日が非日常の体験でした。
①プロ・トップアマチュアの試合を至近距離で観れた
内部情報になるかも分かりませんが、グラウンドキーパーの待機場所(休憩所)は3塁ベンチとバックネット裏の間にあります。
窓から外を見ると、目の前に3塁側のウェイティングサークルがあり、超特等席での観戦ができました。
もちろん、選手の負傷や悪天候による中断などに即座に対応する準備は常にしていました。それが仕事なので(笑)
ちなみに、上の写真は私がマウンドの整備を行った後、自分で撮影したものです。
マウンドは、ヤクルトスワローズの投手陣をメインに、プロ野球選手からの要望に沿って、状態を仕上げる必要があるため、技術が要るのと責任を伴います。
なので、普段は責任ある役職の人が整備しているんです。
この日はテレビの撮影で少し使ったのを手直しする程度だったのでバイトの私が担当させてもらいました。
②プロの試合真っ最中のグラウンドに入れた
①で書いた中断などへの対応もそうですが、プロ野球は3.5.7回ウラ終了時、グラウンド整備を行います。
イニング間とはいえ、プロの真剣勝負の真っ最中のグラウンドの中=フェアゾーンに入るのは、毎回緊張しました。
とてもじゃないですが選手に話しかけらる雰囲気ではありませんでした(笑)
時々、私たちに声をかける選手もいましたが、ごく稀です。
整備後は、全力疾走で撤収します。
ひとつ記憶しているのが、3月のオープン戦で、当時日本ハムにいた陽岱鋼選手に「速いね!ナイスラン!」と声を掛けてもらえたことです。
当時25歳でしたが、プロに冗談でも褒められて、嬉しさのあまり少年のように喜びはしゃぎました。
③プロの練習も運良く超至近距離で観れた
本来の業務では無いんですが、「バッティングキャッチャー」という業務も経験しました。
ヤクルトスワローズの打撃練習中のキャッチャーです。
本来やるはずのスタッフが病欠になり
「まっちーキャッチャーできる?」と聞かれました。
キャッチャー経験はほぼ皆無でしたが、「断ったらゼッタイ損する!」と思い
「当たり前じゃないですか!」と即答。
やってみると、バッティングピッチャーは元プロしかいないので、死ぬほど怖かったです。
ストライク・ボールの微妙なところを見逃した選手からは「(ストライクゾーンに)入ってます?」と聞かれました。
分からないので、とりあえず全部「ボールです!」と答えてました(笑)
でもおかげで、山田哲人選手や川端慎吾選手といった最高峰の打撃を文字通り目の前で見ることができました。
目の前で見ると、何というか…スゴイです(笑)
どうしても感覚的な話になってしまいますが、
・ほぼ全球を真芯でとらえる技術
・いかに軽く振ってボールを飛ばしているか
・明確に打球方向を狙って打ってる
などなど、プロは恐ろしいです。
プロやトップアマチュア(大学)はやはりスゴイ!けど…
普通に生きている中で、「地球から月までの距離」なんて言われてピンとくる人っていませんよね?
私にとって神宮球場でのレアバイトは、
運よく宇宙船(神宮球場)に乗せてもらい「地球(自分)から月(プロ)までの距離」を体感できた感覚です。
しかも「特等席」のような現場で、
時給(5年目は¥1,000ちょっと)をもらいながら、
試合や練習を、
選手の息づかいが分かるレベルの近距離で、
しかも5年間で1,500試合も!
そこで改めて「レベル高ぇなー!!」と感じました。
ただ、個人的に、『ある部分』に限っては「あれ?自分でもそこそこイケるんじゃ…?」
と思うこともありました。
私の場合、『内野守備』がそれでした。
もしかして、自分の守備(だけ)でも、上の世界で少しは通用したんじゃ…?と思えたんです。
実際に挑戦していないので、負け犬の遠吠えではあります(笑)
自ら行動し、体験することで成長スピードが変わる
高校時代の最後は新潟県2回戦止まりの無名校の背番号14(控え選手)
そんな私ですらそう思えたので、
今、高みを目指している若い人たちは誰もが
根拠も無く、勝手にあきらめるべきではないです。
周りに何言われたっていいんです!
あきらめちゃダメですよ!
そして、サポートする周囲の人達も
根拠も無く、勝手に「あいつにはムリだよ」とか決めつけるのはダメですよ!
色々と決めつけちゃう人ほど、根拠無くあれこれモノを言いたがりますからね(笑)
野球に関しては、「神宮球場で働こう!」とは言いませんが(オススメではあります!)、
春季キャンプでもなんでも良いので、ぜひ間近で「観て」感じ取る経験を自ら得ていただきたいです。
それも、私のように30歳手前ではなく、10代のなるべく若い・早い時点で。
それまで全くイメージできなかったレベルの違いが
イメージできるようになることから、目指すレベルがはっきりすると思います。
そこからあなたの成長スピードの急加速が始まります。
どうやったら神宮球場で働けるの?
補足で神宮球場の仕事に関する情報です。
神宮球場を管理しているのは、宗教法人明治神宮外苑です。
ただ、そこで行われる試合やイベントの警備はヒトトヒトHDという会社が運営しています。*当時は日本総業という社名でしたが変わったみたいですね。
私もここにお世話になりましたし、今でも社員の人と連絡をとっています。
私の場合はマイナビバイトで求人情報を見つけ、そこから応募する一般的な方法でした。
注意点として、
場内係員などは大人数の募集をしている一方で
グラウンドキーパーやボールパーソンといったレアバイトは
注意点
・グラウンドキーパーは少数で、定員に限りがある
・ボールパーソンも少数募集しているが学生の紹介で仲間を連れてくるパターンが多い
・規定の問題で、ボールパーソンは現役の野球部員は就業できない(グラウンドキーパーはどうだったか忘れてしまいました)
・球団や選手の内部情報をネットで漏らしたりするとシャレにならない
・熱狂的なファンとか、選手をみて興奮しちゃうような人は採用されない
といった注意点があります。
全く知らない人を面接で採用するより、スタッフの友達や仲間を連れてきた方がリスク管理しやすいので紹介による採用比率が高いです。
人気があり、社会的影響力の大きいイベントに携わるのである程度の制約下におかれることは知っておきましょう。
最初はそれが窮屈に感じるかもしれませんが、
慣れてしまえばなんてことありませんし、
社会人としてのマナーが自然に備わるメリットもありますよ。
なにより、目の前の出来事すべてが激レアといえるほど希少な経験ができます。
採用されるかどうか確証はありませんが、興味があったら思い切って応募してみてもいいと思います。
今(2021年冬)でも「神宮球場 求人」で検索するとマイナビサイトが表示されると思うので、そこから応募できます。
まとめ
今回のポイント
神宮球場で働けたことで
・野球の見方や考え方、ひいては人生が変わった
・レアな体験をしたことで自分の成長スピードも変わった
・神宮球場で働くには、条件があるが、当てはまれば思い切って応募してみよう!
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今は、少年野球のコーチをさせてもらっており、
少年野球の指導者資格に関する情報なども発信しています。
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今回はここまでです。